NHK生出演2006/10/09 04:56

クレーンカメラと手持ちカメラの前でキメポーズ
 10月2日
 下見をして取材にも来ていただいたNHKに生出演しました(話題が前後しますが)。当日は2時過ぎにはスタジオ入りして、着替えやアップ。そしてまずはカメラリハをしました。

 カメラは全部で三台あります。二台は普通のスタジオにあるようなカメラで、立った人の高さから真横を見るような安定した映像になります。
 一台はクレーンカメラで、高いところから見下ろしたり、低いところから見上げたり、視点が大きく変わるのでダイナミックな映像になります。
 最後の一台は手持ちのカメラで、ダンサーのすぐそばからなめるような映像が撮れます。
 それらを組み合わせて、スイッチャーさんが、効果的に切り替えていきます。

 で、3時ごろ踊りを見せたところ、どのシーンをどのカメラで追うのか、といったことを色々と打ち合わせていました。こういう打合せを毎日やっているんだなと関心しました(あたりまえと言えばあたりまえですが)。テレビ局は毎日が本番です。

 その後4時から30分通しのリハーサルをして、いよいよ本番は5時半です。なんというか、かなり緊張しました。ダンスの公演の本番とは全く違う緊張感です。
 多分、その日のうちに、あれこれとバタバタ決まっていく中で、頭を次々と切り替えて本番をこなさなくてはいけないからでしょう。
 部員も回を重ねながら、立ち位置やタイミングを微調整して本番に備えていました。やはり本番が一番良かったです。

 6時に放送が終わり6時半には撤収しました。
 この日NHKのテレビクルーは全部で12人いましたが、毎日こうして番組が作られているんだなと思い、この「ひかりの広場」にまた生放送を見に来ようと思いました。
 NHKのみなさんありがとうございました。

 さてこの日、帰宅してからずっと頭にひかかっていることが二つありました。
 一つは「本番で先生も踊って下さい」と言われて、ランニングマンとマックスをしたことです。これはNHK側が「実際に踊ってみせて指導する」という様子を見せたいからということでリクエストされたのですが、それについて「だったらチェアーの方が物理的な説明とかができてよかったのではないか、それとも説明に時間をとりすぎるからランニングマンとマックスでよかったのか…」などとずっと考えていました。
 もう一つは、肩書き。内容的には正確に言っていただいたのですが、視聴者にはかえってわかりにくいものになってしまいました。「それなら別の言い方があったのにな」と思いました。

 とにかく放送局ではバタバタと慌しく決まっていきます。自分はじっくり考えて表現するタイプなので、慌しいと、後からこんな風に、あれこれ考えます。

 それからもう一つ、10月2日の朝日新聞に藤原新也が、テレビでの見せ方に潜んでいる過剰な演出についてのコラムを読んだからかもしれませんが、テレビに出るのは恥をさらすことだなと思いました。
 でも、「だから出ない」のではなく、それを自覚した上でテレビでできることをするのも、また使命だと思いました。

 気をつけたいのは、テレビに出るときっと、「良かったよ」とか「ダンスすごかったよ」と言われるに違いないのですが、そのことで、「伝わった気になる」のは怖いなと思います。生のダンスで伝わるものとテレビで伝えられることは全然違うので、テレビに出た時の評価で、錯覚して、満足してはいけないなと思いました。

 後日談
 昨日鴨方高校の回のきびきびネットをようやく見ました。ランニングマンとマックスで正解でした。テレビの人はすごいと思います。
 ただし自分の声は緊張していて小さいなと思いました。
 この日の視聴率は通常の二倍近くあったらしく、局内でも好評だったとのことです。

テレビ局のカメラマンがダンスを撮ると、無意味なアップとかが多くなるのは仕方がないのか?2006/10/09 05:48

 先週一週間の「きびきびネット」で放送された「高校生ダンスWeek」の映像をようやく全部見ました。
 五つの高校それぞれの持ち味が出ていて、視聴者のみなさんにもダンス部で活動している高校生の生き生きとした様子が少しでも伝わったのではないかと思いました。
 テレビというのはそういう意味では本当にありがたいと思います。

 がしかし、全部見て思ったのがこのタイトル。

 前々から思っていたのですが、今回改めてそう思いました。最初に鴨方以外の映像を見て、例えば時間差のある動きで、止まっている人の方をアップしたり、なぜか足元のみを写したり。上半身をアップしたり。で、怖くて鴨方高校のはなかなか見れませんでした。

 さて、どうしてこういうことが起こるのかが、実際に番組を創っている現場に行って少しだけ分かりました。カメラマン一人一人も、スイッチャーさんも、ディレクターさんも、ある演出意図を持って「そうしている」ということです。
 テレビ番組を創るのも表現や創作行為ですから、当然と言えば当然ですが、現場に行って打合せをしているスタッフの方々を見て、初めて、確かにそうなんだと実感できました。

 ところがです、ダンスも元々、非常に長い時間をかけて、ある創作意図をもって、全ての瞬間を創り上げていく芸術です。振り付けで体のどこを動かすのか、止めるのかといったこともそうだし、その動きを効果的に見せる位置構成もそうだし、そういった空間的な演出を考えます。それらトータルで一つの作品なわけです。
 その作品をテレビで流す時には、テレビ局の人から見ればそれは一つの素材にすぎなくて、その素材を元にダンサーの演出意図とは別の発想で、テレビ番組の製作者がフレームで切り取ったり、画面の切り替えで盛り上げようとするなどの、テレビ的な演出を加えようとするものだから、おかしなことになるのです。

 できるだけ、元々の作品の意図を壊さないでテレビで流すには、例えば足元を写すなら、斜め上からではなく、横から撮ることで、背景の別のダンサーの全身が写るようにするとか、ワイコン(広角レンズ)をつけることで、独りだけ大きく写す時にも周囲のダンサーが写るようにするとかしてくれればいいのですが。
 もちろんあらかじめ、作品を何度か見ていただくことも重要です。

 さて、四校見たあと、こわごわと鴨方高校の回を見ました。
 なんだカメラワーク結構いいじゃん。
 なんでだろう。
 スタッフが回を重ねるごとに色々工夫しようとして、それが裏目に出たのか、打ち合わせの時間を長くとったからか…。
 あとは、作品の違いもあるかもしれません。鴨方はうらじゃだったので、時間差のある動きも2カウント程度の時間差なので止まっているダンサーが少ないし、基本的には全員が同じ動きで、長方形の隊形なので、どのアングルからでもまずまずいい絵が撮れるのではないかと思いました。

 今後テレビ番組に関わることがあれば、そのあたりをご相談できればなと思いました。